シャフルの「するべき」と「するべからず」

リー・マクレイン(認定レベル3ジャッジ)

 マジックにおける基本ルールの一つに、各ゲームの開始時に、デッキ内のカードの順番がランダムになっていることがあります。総合トーナメントルール(21条)に書かれていますが、各プレイヤーはカードの表を見ずに、十分に自分のデッキのカードをランダムにする必要があります。リミテッド用の40枚デッキであれ、スタンダードの60枚デッキであれ、エクステンデッド版「バベル」の250枚デッキであれ、プレイヤーは自分のデッキ内がどういう順番になっているかをまったく知らない状態でいなければいけません。

Lee McLain
リー・マクレイン(レベル3)

 デッキをランダム化するには様々な方法があります。リフルシャフル(ショットガンシャフルと呼ぶ人もいます)もありますし、裏向きの山をいくつか作ってカードの順番を入れ替えるパイルシャフルもありますし、デッキを半分に分けて互いの間に押し込む「押しつぶしマッシュ式」シャフルもあります。まあ、それぞれの方法を違う名前で呼んでいるプレイヤーもいるでしょうし、それ以外のシャフルの方法もあるでしょうが、どれもきちんと行なえば、同じ目的を果たしてくれます。それが、デッキのランダム化です。

 他の方法として(これは実はシャフルでも何でもないのですが)、「マナの編み込みウィーヴ」と呼ばれているものがあります。一般にこれは、まずデッキを呪文と土地にわけ、その後これらのカードを特定のパターン、すなわち呪文2枚、土地1枚、呪文2枚、土地1枚と積んでいくことを意味します。デッキが60枚で土地が20枚なら、この編み込みによって呪文と土地の比率はきっちり2:1になり、プレイヤーは確実に土地が引けるようになるのです。

 しかしこのままだと、上記のデッキは典型的なランダムでないデッキとなります。事実、あなたはカードのパターンを知っているからです。カードの正確な順番は知らないかもしれませんが、呪文2枚と土地1枚というパターンの繰り返しは確実に存在するのです。このままであれば、これはデッキの積み込みであり、不正行為として罰せられます。マナの編み込みを行なったのであれば、さらにそのデッキをランダム化する必要があるのです。

 デッキを適切にランダム化するためには、プレイヤーは適切なシャフルやカットを何回か繰り返す必要があります。プレイヤーの中には、マッチ内でパイルやシャフルやその他の方法を複数組み合わせる人もいます。シャフルの手順をどうするかにかかわらず、一つの事項だけは変わりません。デッキはランダム化されなければいけないということです。マナの編み込み後に適切なランダム化をしないのはデッキの積み込みに当たりますし、パイルシャフルだけでも不十分ですし、リフルシャフルやパイルシャフルを1、2回行なっただけでも不十分です。パイルシャフルでシャフルを終わらせるのも不十分でしょう。

 シャフルをする場合、異なった手順を組み合わせて行い、さらにカードを痛めたり落としたりしないように気をつけながら、徹底して行ってください。ゲームとゲームの間は3分間の時間が与えられているのですから、たった20秒シャフルしただけで終わらせないように!

 中には、「どうして(特定のシャフル方法)を禁止しないんだ?」と聞く人もいるでしょう。実際の話、疑問の残る手順をどう定義していくかは難しい問題ですし、それよりも適切な手順を定義するほうが分かり易いでしょう。以上のガイドラインを守ってシャフルを行なうかぎり、なんらかのシャフルの手順を禁止する必要性はありません。

 不適切なデッキのランダム化は、他のプレイヤーやジャッジにとって警告の旗を上げるべき物です。ペナルティ・ガイドラインによれば、不適切なデッキのシャフルに対するペナルティは警告になります。ただし、これはあくまで意図的でない違反に対して適用されるものです。ジャッジがその行為が意図的であると認めた場合、それは不正行為であり、失格になった上でDCIによる調査が待っています。


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