「ぼむ!」 デザイナーズノート


 某ゲームデザイナーさんが、こんなことを言っていた。

 「ゲーマーは、ダイスをガラガラふっていれば幸せな人種だ。

 けだし名言だと思う。なので、自分もダイスをガラガラいっぱいふるゲームを作ってみた。アイデアの発端は「ダイスがどんどん増えていくごとに危険が増す」と「ダイスのある目と別な目が同時に出たらアウト」の二つの要素。当初はロシアンルーレットがテーマだった。

 色々と研究した結果、ダイスゲームには二つの重要な要素があるように自分は結論を出した。一つは「ダイスゲームは、理不尽さを楽しむゲームでなければいけない」。そしてもう一つは「ダイスゲームは、誰かの失敗を喜ぶゲームでなければいけない」。この二つだ。

 ダイスはすべて確率をもとにしてその危険度を測ったりするわけなのだけれど、確率はあくまで確率であって、ふった結果がどっちに転がるかはまさしく「出たら目」なのである。そして、その理不尽な目が出たときに、周りがいっせいにガハハハッと笑えるゲームであることが望ましい。このゲームの場合だと、ついうっかり3個のダイスで爆発させてしまうとか、ついうっかり8個ふったら3ヒット直撃食らって1ラウンド目で即退場するとか(テストプレイ中に一回食らった(^^;))、そういう理不尽さを面白い要素に変える必要がある。

 そしてもう一つ、あるダイスゲームが終盤にかかる頃、あるプレイヤーが「ここでダイス3個ふって3なら勝ち!」とか言って、うっかりその目を出してしまったとする(確率0.5%未満)。そうした場合、本人は嬉しいかもしれないけど、周囲は何と言うか、煮え切らない空気に包まれてしまうのも事実だ。「なんか納得いかないなー」みたいな。その理由は何か? 曰く「人の不幸は蜜の味」これに尽きる。誰かが成功した時、喜ぶのは誰か一人。しかし、誰かが失敗すると、周りのみんなが喜び、ゲームが盛り上がる。ダイスゲームはどこまでもパーティーゲーム的な要素が絡んでくるから、こういう「盛り上がるか否か」はかなり重要だったりする。

 あと、ダイスゲームで予想外に重要だったのが、ダイスの重さ。当初はダイスは安い木の立方体を使う予定だったが、いざ作ってふってみると、これが何とも頼りない。ダイスをふる時の快感が無いのだ。ということで、ユリア樹脂のダイスに変更することになる。値は張るけど、快感の無いゲームに意味は無いでしょ。

 ついでながらこのゲーム、残り2人になってからが実は相当アツい。最初の1枚に「0」が来るか来ないかの駆け引きとか、「6」とか「7」を出すタイミングとか、かなりクるよー。


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