(オリジナル:http://www.misetings.com/article/702)
《島/Island》とはどんなカードか?
《島/Island》は見かけ上は単なる青マナの発生源です。マジックの全盛期、人々はこのカードを見て言ったものでした。「何だこりゃ? 《稲妻/Lightning Bolt》撃つのにも使えないのかよ?」 その後、コラム"マジック:ザ・パズリング"のライターであるマーク・ローズウォーターが、デビュー作の"デザイン空間"と題したパズルで《島/Island》をキーカードとして使ってから、人々はようやくこのカードのゲームでの新たな側面を考え始めたのでした。読者歴の長いジェイミー・ウェークフィールドは、こんな回顧録を送ってきました。
「そいつは恐ろしい体験だった。俺はエルフや鳥の助けを借りて5ターン目に《大喰らいのワーム/Craw Wurm》を出すことで、何ヶ月もの間ゲームを勝ち続けていた。ある晩、俺は地元のトーナメントでブライアンという名の子供と対戦することになった。そいつの使ってたのは"ザ・デッキ"とかなんとかぬかすデッキだった。彼が1ターン目に《島/Island》を置くのを見て、俺は楽勝だと思った。《島/Island》なんか誰がプレイするって言うんだ? 俺はいつも通りゲームを進めて5ターン目に《大喰らいのワーム/Craw Wurm》を出したが、彼が島を2枚タップしたらワームは出てこなくなっちまったんだ。こんなのを目にするのは初めてだった。そのとき俺は悟った。マジックはもう別なゲームになっちまった、って」
プレイヤーが、あらゆる呪文が《島/Island》を2枚タップするだけで止められると気づいたとき、《島/Island》の恐怖が始まり、以降止まることを知りません。
それが有効だった頃……
《島/Island》はその後トーナメントシーンを席巻し、ほどなくDCIの介入を招くことになります。事実、The Duelist誌の1996年4月号で、DCIは認定トーナメントで《島/Island》を禁止する意向であることが発表されています。しかし幸いなことに、青使いはどこにでもいました。ウィザーズ社はランディ・"青大好き"・ビューラーを雇うことを決めたのです。彼が最初に公式に行ったのは、この計画をやめさせることでした。
なぜ強いのか?
《島/Island》の素晴らしさは、タップ以外のコストを必要とせずに青マナを得られるというシンプルさにあります。《島/Island》を1枚タップすればカードが3枚引けます。《島/Island》を2枚タップすればどんな呪文でも止められます。《島/Island》を3枚タップすれば、デッキを切り直した上で7枚のカードが引けます。《島/Island》入りデッキを使うということは、カードをたくさん引けるということであり、ゲームに勝つということであり、大抵の新入りを挫折させるということなのです。いずれをとっても、《島/Island》はMVPにふさわしいと言えるでしょう。
その後の風景
《島/Island》が環境を制圧してからの数年間、開発部はこのMVPのよりバランスの取れたバージョンを作ろうと試みてきました。最初のバリエーションは《孤島の聖域/Island Sanctuary》でした。これは《島/Island》の一種でしたが、カードが引けないという弱点を持ち、さらに白マナが必要でした。想像していただけるとは思いますが、さすがにこれはやりすぎです。開発部の次の試みは、タップしても青マナの出ない《ワク=ワクの島/Island of Wak-Wak》でした。《ワク=ワクの島/Island of Wak-Wak》は若干のデッキに入ることがありましたが、その環境ではまだ元々の《島/Island》が有効だったために、目立った活躍の機会は得られませんでした。開発部の次の作品は、ダメバリエーションの《テフェリーの島/Teferi's Isle》でした。このカードはタップすることで青マナを2マナ得られ、さらにフェイジングのキーワードを持っていました。《テフェリーの島/Teferi's Isle》にとって不幸だったのは、"フェイジング"のキーワード能力が"クソッタレ"能力とあまりにも似通っていたため、結局成功にいたる事はできませんでした。その後、開発部はついにはまったく別な方向からよりバランスの取れた《島/Island》を作る試みに挑みました。悪名高きウルザ・ブロックにおいて、弱点無しで複数の青マナを1回のタップで生み出す《島/Island》のバリエーション、《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》を作り出したのです。このカードは、"開発部謹製ケツの穴"として知られ、"開発部突発惨事"の発端でもあります。それ以降、《島/Island》のバランスを取ろうという試みは行われておらず、それはゲームの一部として残り続けているのです。
あなたの考えは?
次回の“歴代のMVP達”で取り上げて欲しいのは? |
《ぐるぐる/Twiddle》 《骨のフルート/Bone Flute》 《混沌のグー/Chaotic Goo》 |
さて、次回の"歴代のMVPたち"にはどのカードがいいと思いますか? ぜひとも右の中からお気に入りの1枚に投票してみてください。他にも入れる価値のあるカードはたくさんあるのですが、ここには3枚しかカードを入れられないのです。心配無用、残りもそのうち登場しますよ!
次週お届けするのは、頭の悪いガキや彼女いない歴数年というプレイヤーが泣いて喜んだ3枚コンボのうちの1枚です。さてあなたは、《ぐるぐる/Twiddle》、《骨のフルート/Bone Flute》、《混沌のグー/Chaotic Goo》のいずれがお気に入りですか?